2024 年 42 巻 1 号 p. 21-25
陽電子断層撮影法(positron emission tomography, PET)は今日の核医学において必要不可欠な存在となっている.筆者らはPET 検出器の同時計数時間分解能を30 ピコ秒まで高めることで,画像再構成を用いることなく陽電子放出核種の二次元イメージング(direct positron emission imaging, dPEI)に成功したことを報告した.dPEI は従来の医療装置にみられるようなリング形状にする必要がなくコンパクトな形状を取れること,リアルタイムイメージングの可能性,さらには従来のPET と比べて高シグナルノイズ比が期待されるなど,さまざまな利点がある.しかし,dPEI をより現実的な装置とするには解決すべき課題が数多くある.本誌ではdPEI の原理に始まり,その実現に向けた今後の取り組みについて紹介する.