頭頸部癌
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上顎再建―整容的改善への挑戦―
上顎癌切除後の整容的再建における工夫と限界
加藤 久和水田 啓介青木 光広久世 文也伊藤 八次
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2011 年 37 巻 4 号 p. 470-477

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抄録
我々の施設では,上顎癌に対する切除は,上顎全摘以上がほとんどである。これに対して整容的再建を行う上で,我々が重要視している点は,眼球温存例での眼球の支持と頬骨隆起の再建である。これら切除を要する進行癌では,術後照射例が多く,チタンメッシュを使うと,その周囲での照射の影響が強く出るため,使用を控えている。これに代わり,最近ではラクトソーブ®や筋膜で眼球を支持している。まだ短期結果だが,眼球は支持されている。頬骨隆起の再建では,上顎全摘以上では,硬性再建無しで整容的結果を出すのは難しく,遊離肋軟骨や血管柄付き骨を移植し,良好な形態が得られた。しかし,術後照射のある症例に,一期的血管柄付き骨移植を行うか否かは,未だ議論中の問題である。二期再建では,この制限が無く,整容的再建を追求できる。術後照射のある上顎全摘以上に対する整容的再建は,今後も大きな課題である。
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© 2011 日本頭頸部癌学会
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