頭頸部癌
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喉頭
当科における声門上癌治療の検討
平賀 幸弘黄 淳一
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2012 年 38 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
1989年よりの20年間で,当科では声門上扁平上皮癌50例に対して抗癌薬,放射線,手術を適切に用いた集学的治療を行ってきた。男女比39対11,年齢の中央値69歳,Stage分類では,I 8例,II 9例,III 14例,IVA 16例・IVB 2例・IVC 1例であった。治療方針は,全例に放射線治療をX線で中央値66Gy施行した。Stage III,IVのうち30例に全身抗癌薬治療(fluorouracil+carboplatin)をICTまたはCCRTで投与した。放射線単独治療は20例であった。照射46Gyの時点で効果を評価し,効果が不十分と予想される場合は手術適応とした。以上の対象について,下記の検討を行った。1)全50例の 5年疾患特異的生存率は82.6%,5年累積粗生存率は65.7%であった。2)Stage別5年疾患特異的生存率は,I 100%,II 100%,III 70.7%,IV 73.9%であった。3)5年喉頭温存率は64.2%であり,T分類別ではT1 90.9%,T2 87.5%,T3 35.9%,T4 50.0%であり,有意差を認めた。4)T3,T4症例での喉頭温存群と喉頭摘出群の5年疾患特異的生存率は75.5%,75.0%であり,有意差はなかった。5)Stage III,IV症例においてICT+放射線治療群,CCRT群と全身抗癌薬治療非施行群を比較すると,2年疾患特異的生存率(80.0%,83.3%,87.5%)と2年喉頭温存率(37.5%,77.8%,64.8%)ともに統計的有意差は認めなかった。
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© 2012 日本頭頸部癌学会
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