抄録
当科の喉頭癌T3・T4の72例の治療成績を検討した。当科では化学放射線同時併用療法(以下CCRT)40Gyで評価を行い,腫瘍が残存していれば根治手術(以下OP),残存なければCCRT続行という治療方針をとってきた。この結果,亜部位別の3生率は,声門上が58%,声門が71%,声門下が100%,T別はT3が75%,T4が46%,N別はN-が78%,N+が56%であった。また3年喉頭温存率は,亜部位別が声門上12%,声門26%,声門下50%,T別がT3 28%,T4 4%,N別がN-29%,N+13%であった。一次根治後の再発率は29%でその救済率は25%と低く,理由の多くは遠隔転移出現であった。これら3生率,3年喉頭温存率および一次治療後遠隔転移出現率において,亜部位とN別における有意差はなかったが,T別でT4がT3に比べ有意に悪い結果であった(p=0.01)。現在当科では,T3はCCRT±OP,T4はOP後CHを行う方針へ変更した。