頭頸部癌
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唾液腺
耳下腺癌の臨床的検討
橘 智靖中田 道広深澤 元晴宇野 欽哉小河原 悠哉
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2012 年 38 巻 1 号 p. 43-49

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抄録
耳下腺癌の病理組織型は多彩で,正確な術前診断が難しい。耳下腺癌28例の臨床的検討を行った。穿刺吸引細胞診の敏感度は45.8%,組織学的正診率は20.8%であった。術中迅速診断はそれぞれ85.7%,42.9%であった。基本的な治療方針はT1・T2,低悪性では部切以上を,T3・T4,高悪性では顔面神経切除を含めた全摘以上を施行している。頸部郭清は 6例に上頸部郭清,5例に全頸部郭清を施行した。全頸部郭清は高悪性,T3・T4,頸部リンパ節転移陽性(N(+))症例に施行している。術後病理で安全域が乏しい症例,T3・T4,多発N(+)及び節外浸潤症例を認めた12例に術後放射線治療(術後RT)を施行した。予後不良因子は高悪性,stageIV,N(+)であった。耳下腺癌の治療には正確な術前診断が重要であり,予後不良例における適切な切除,術後RT及び有効な化学療法が必要であると考えた。
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© 2012 日本頭頸部癌学会
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