2014 年 40 巻 1 号 p. 1-4
2002年7月から2011年12月までの期間に,当院において下咽頭・喉頭・頸部食道全摘術(咽喉食摘術)および遊離空腸移植を行った47例(男性40例,女性7例,平均年齢64.3歳)について,術後合併症および術後摂食機能について検討した。術前放射線照射を行っていた症例は15例であり,手術に追加する治療として節外浸潤や腫瘍切除断端が陽性であった24例に対して術後放射線照射を行った。移植した遊離空腸は全例で生着した。創部感染やリークは術前照射を受けた症例で多く,高度吻合部狭窄は術後放射線照射を受けた症例に多い傾向が見られた。高齢によるものと考えられる摂食障害は認めず,遊離空腸移植は咽喉食的術後の下咽頭再建において安全な術式であると考えられた。