永久気管孔の術後狭窄は,しばしば遭遇する合併症のひとつであり,時には外科的に気管孔開大術を行う必要がある。術後狭窄を防ぐために,Z形成法や三角弁の挿入など種々の気管孔作成方法が考案されているが,われわれは,埋没縫合を用いて縫合法を工夫する単純な方法で気管孔作成を行い,術後狭窄が少なく良好な結果を得られたので報告する。
気管孔狭窄の原因は,皮膚と気管粘膜に生じた段差に瘢痕拘縮が生じることや,気管粘膜や気管孔周囲の皮膚に血流障害をきたすことと考えられる。これらに対する改善方法として,埋没縫合により皮膚と粘膜を丁寧に合わせ,気管粘膜の血流を障害せず,気管軟骨を被覆することで,術後狭窄が予防できると考えられる。また,喀痰や痂皮の付着が少なく気管孔の管理も容易であることから,患者の負担が軽減するだけでなく,医療者の術後気道管理も容易であった。