2014 年 40 巻 1 号 p. 66-70
当院にてCDDP 40mg/m2/週併用の化学放射線療法を行った中咽頭扁平上皮癌新鮮例22例に対して臨床的検討を行った。22例中13例がHPV陽性であった。放射線治療は本人希望にて50Gyで終了した1例以外は全例70Gy完遂できた。CDDPの平均投与量は179mg/m2であった。有害事象はGrade4以上は認めなかったが,Grade3の粘膜炎が16例(73%),好中球減少,皮膚炎が各4例(18%)認めた。原発病変に対する一次治療効果は,HPV陰性の1例がPRであったが,21例はCRとなった。頸部に対しては22例全例CRとなった。HPV陽性例の3年粗生存率は92.3%であったのに対し陰性例は66.7%であった。統計学的有意差は得られなかったが,HPV陽性例の方が予後が良好な傾向にあった。HPV陽性例は導入化学療法を先行させた症例が多かったものの,本治療における治療成績は良好で十分な効果が期待できると思われた。HPV陰性例に対しては一次治療効果は良好であるものの再発や転移を来す症例が陽性例に比べ多く生じた。