抄録
今回われわれは,3次元立体モデル(3Dモデル)を用いて歯科技工技術を応用し,新たな手術工夫を行い良好な結果を得たのでその概要を報告する。対象は,下顎歯肉癌にて下顎区域切除,頸部郭清後に遊離血管柄肩甲骨皮弁再建術を施行した2例である。術前にドナーとなる肩甲骨と下顎骨の3Dモデルを用いて下顎骨再建後の形態を再現し,それを元に再建用プレートの屈曲と,顎位の再現を容易にするsurgical guide plateを作成した。本法により,術中の再建操作は円滑に行われ術者の負担軽減が得られた。また術後の下顎正中の偏位はわずかであり,術前と同様に通常の食事摂取が可能でQOLの維持が得られた。
結論:下顎骨と移植骨の3Dモデルを,歯科技工を応用することでスムーズな手術操作と,術前と変化のない摂食状態の維持と顔貌について満足度の高い再現性が得られた。