抄録
無喉頭患者の代替音声の一つであるボイスプロステーゼの挿入は,二期的挿入は合併症の危険が大きいとされ,一期的挿入が推奨されている。しかし,二期的挿入が必要な患者も多く,簡易な二期的挿入法の開発が求められていた。われわれが報告した局所麻酔下での新しいボイスプロステーゼ挿入法(Fukuhara Method;福原法)は,これまでの二期的挿入法の欠点を克服し,誤穿刺の危険を排除した。本手法により2011年から35名の患者に施行した。35名中34名で挿入でき,手術時間の中央値は10分であった。皮弁による再建の有無,放射線治療の既往の有無で手術時間に差はなかった。手術による合併症は認めず,挿入直後からの経口摂取と発声が可能であった。局所麻酔下での新しいボイスプロステーゼ挿入法(福原法)は,二期的ボイスプロステーゼ挿入方法として広く勧められる。