目的:声門癌T2症例に対するS-1併用放射線治療の有効性と問題点の検討。
対象:大阪医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科にて声門癌T2症例に対して外来通院で初回治療した症例のうち,放射線単独治療を施行した22例(RT単独群)とS-1併用放射線治療を施行した26例(S-1併用群)。
結果:S-1併用群26例中6例で再発を疑われたが,5例で壊死組織であり,1例で異形成であった。3例に両側声帯麻痺を認め,気管切開術を要した。一方,RT単独群22例中4例に局所再発を認め,患側声帯麻痺は1例に認めた。S-1併用群はRT単独群に比べ,局所制御率が有意に高かった。S-1併用群で喉頭機能障害を生じた5例は上方進展および披裂軟骨にかかる傾向にあった。
結語:T2声門癌の局所制御率は放射線にS-1併用することで有意に向上した。S-1併用群26例では局所再発が認められなかったものの,喉頭機能障害を生じている症例があり,今後はさらなる真の喉頭機能温存を目指す必要がある。