頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
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鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する外科治療の最適化
頭蓋底浸潤鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する治療戦略
小川 武則小嶋 郁穂村田 隆紀阪本 真弥岸田 佳太高橋 紀善松下 晴雄荒川 一弥野村 和弘中目 亜矢子大越 明東 賢二郎石井 亮嵯峨井 俊神宮 啓一香取 幸夫
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2017 年 43 巻 4 号 p. 409-414

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抄録
頭蓋底浸潤鼻副鼻腔癌の治療法として,手術(開頭,顔面切開,内視鏡),化学放射線治療(RADPLAT,全身投与)があるが,1:硬膜浸潤診断が困難であり内視鏡単独手術適応に迷う事がある,2:内頸動脈系にはRADPLAT困難であるが頻度が不明,3:有効な全身化学療法レジメンがないなどの問題点がある。治療アルゴリズム作成を目的とし,上記問題解決を目指した後方視的観察研究を行った。対象は,2002年から2017年の間に加療した頭蓋底浸潤頭頸部癌92例(鼻副鼻腔癌68例)である。結果として,1:頭蓋底手術20例中18例に硬膜造影所見を認め,18例中10例(55.6%)に病理学的硬膜浸潤を認めた。腫瘍浸潤群は,硬膜周囲のADC値は有意に低値であった。2:RADPLAT施行T4上顎洞癌18例中7例(38.9%),T4b:6例中5例(83.3%)に内頸動脈からの腫瘍濃染を認めた。3:TPF化学放射線治療20例の5年粗生存率は58.3%,5年無増悪生存率は50%であり有効と考えられた。
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© 2017 日本頭頸部癌学会
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