抄録
耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引きが刊行され,高水準消毒薬として本邦で認可されている過酢酸,フタラール,グルタラールに加えて,参考として二酸化塩素が追加された。二酸化塩素は高水準消毒薬の承認はないが,これを用いた内視鏡洗浄消毒器は薬事承認を取得している。そこで消化器内視鏡検査後の内視鏡への細菌付着状況と二酸化塩素を用いた内視鏡洗浄消毒器の効果を検討した。上部内視鏡検査65例と下部内視鏡検査60例で検査終了時と洗浄消毒後に鉗子孔から生理食塩水10mlを注入し,その洗浄液を採取し,細菌培養に提出した。検査終了の洗浄液からは全例で細菌が培養・同定された。洗浄後は上部では全例,下部では59/60例が細菌陰性となり,下部の1例のみ増菌培養でE. coliが確認された。消毒液に起因する内視鏡の不具合や内視鏡室スタッフの皮膚,呼吸器の有害事象はなかった。消化器内視鏡における二酸化塩素を用いた洗浄消毒器の効果が確認された。