2022 年 48 巻 4 号 p. 330-337
頭頸部悪性腫瘍に占める軟部肉腫の割合は1%程度と希少疾患である。その組織型は骨肉腫,横紋筋肉腫,Ewing肉腫など多様である。今回,我々は2011年~2020年の10年間に治療を行なった成人発症の胞巣型横紋筋肉腫4症例について検討したので,文献的考察を加え報告する。内訳は男性2例,女性2例,年齢は52~58歳(中央値56歳)であった。初診の時点で3症例がリンパ節転移,2症例が遠隔転移を伴っており,化学療法,放射線治療および手術を組み合わせた集学的治療を行った。全症例で一定の治療効果を認め,1例は治療終了後1年間無再発生存,1例は治療継続中である。初診時から遠隔転移を伴っていた2例は遠隔転移病変が制御困難となり死亡した。成人の胞巣型横紋筋肉腫には確立された標準治療がなく,小児と比較して予後不良である。今後,成人に対する標準的治療の確立が待たれる。