頭頸部腫瘍
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口腔粘膜癌の浸潤様式に基づく化学療法レジメンとその効果
山本 悦秀岡部 孝一能崎 晋一鹿渡 靖子熊谷 茂宏中川 清昌
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1992 年 18 巻 2 号 p. 71-74

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抄録
口腔扁平上皮癌の腫瘍宿主境界線における腫瘍の浸潤様式分類 (山本, 小浜: 1982) は各症例毎の化学療法効果や術後生存率と強く相関し, 浸潤傾向の強い症例ほど抗癌剤感受性が低く, 予後不良であることを経験してきた。この結果に基づき, 我々は1988年より浸潤様式に応じた以下の2つのレジメンによる導入化学療法を試行している。即ち浸潤傾向の弱い1, 2型 (M-1, 2) にはレジメンI (R-1) としてOK432+BLMの温和な化学療法を, 一方, 浸潤傾向の強い3, 4Cおよび4D型 (M-3, 4C, 4D) にはレジメンII (R-II) としてCDDP+PEPの比較的強力な化学療法を採用し, 1次症例21例に使用した。結果: 各々のレジメンの奏効率はR-Iで5/10 (50%), R-IIで7/11 (63, 6%) と大差がなかったが, CR 5例のうち, 4例は浸潤傾向の弱いM-1, 2症例に対して温和な化学療法R-Iを施行した症例に集中していた。これらの結果より各症例毎の制癌剤感受性が治療前にかなり予知され, 適切なレジメンを選択し得ることが示唆された。
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© 日本頭頸部癌学会
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