頭頸部腫瘍
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上皮小体をめぐる手術手技上皮小体の見つけ方, 残し方, 移植の仕方
長谷川 泰久松浦 秀博中山 敏藤本 保志佐井 博範甲村 孝秀小川 徹也松塚 崇寺田 聡広奥村 耕司
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1996 年 22 巻 3 号 p. 406-410

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抄録
上皮小体を意識せず甲状腺全摘を行うと永続的な機能低下を招く。機能低下を避けるためには少なくとも1腺の血流を確実に温存するか, あるいは2腺以上移植することが必要である。上上皮小体は大部分が crico-tracheal junction の高さで甲状腺後縁に位置している。生ウニ色でやや光沢のある5mm位の楕円形の組織である。温存法: 上上皮小体の確認後下甲状腺動脈を同定し本幹より末梢に向かい上上皮小体まで血管を丁寧に剥離する。上甲状腺動脈の後枝からの血行が明かであればこれを温存する。移植法: 甲状腺全摘後ただちに移植可能な上皮小体を摘出する。一部を迅速標本とし, 上皮小体と確認する。眼科用剪刀を用いて薄切 (10~15片) する。頸胸部の筋肉 (胸鎖乳突筋, 後頸筋, 大胸筋) にモスキートで小ポケットを3~4個所作り, この移植床に上皮小体片を埋没する。上皮小体の手術において必要なことは解剖の知識と丁寧な手術操作である。
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© 日本頭頸部癌学会
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