抄録
局所進行頭頸部癌の放射線治療におけるCDDP同時併用療法 (CDDP chemoradiation) の意義について検討した。同時併用により, 多剤併用による adjuvant および neoaduvant chemotherapy に比較して, 抗腫瘍効果の増強のほか, 急性期反応や副作用を軽減できることが期待された。CDDP中等量同時併用群の治療成績を, 過去10年間施行したCDDP 1回大量多剤併用群を historical control として比較検討した。
79歳までの遠隔転移を伴わない局所進行頭頸部癌のうち, 27例は, 1992年4月~1995年12月の問, CDDP 20mg/m2週4回の chemoradiation を1~2コース施行された。一方, 1983年7月~1998年5月の10年間, 37例は, CDDP 80mg/m21回投与に, PEP 10mg/m2, MTX 40mg/m2, 5-FU 500mg/m2のうちいずれか2剤を加えた多剤併用療法が施行された。CDDP中等量同時併用群およびCDDP 1回大量多剤併用群の局所制御率は, 各々, 23/27 (85%), 16/37 (43%) であった。CDDP中等量同時併用群は, 平均観察期間20ケ月, 最短観察期間6ケ月と観察期間が短いが, 30ケ月までの無再発生存率および累積生存率において有意に (無再発生存率: p=0.049, 累積生存率: p=0.021) 優れていた。各々の2年無再発生存率および2年生存率は, CDDP中等量同時併用群: 58%, 100%, CDDP 1回大量多剤併用群: 56%, 65%であった。CDDP中等量 chemoradiation は, 副作用も対象群に比較して軽微であり, 有効性が示唆された。