1998 年 24 巻 1 号 p. 109-115
1995年から96年の間に当科で下顎切除を含む手術を施行した口腔癌患者で, 術前に Dental CTプログラムによるX線CT検査を行った9症例について, 術前の画像診断と手術材料の組織学的所見を比較し検討を行った。単純X線写真で下顎骨吸収様式が平滑型を示した症例の吸収範囲, 吸収深度はDental CT画像とおおむね一致していたが, 虫喰型を示した症例では Dental CT画像による吸収範囲の方が広範囲であった。頬側または舌側の片側のみの歯槽部に限局した骨吸収症例では, 単純X線写真でその吸収像を確認する事ができなかったが Dental CT画像では吸収範囲, 吸収深度が明確に示された。さらに, Dental CT画像で示された骨吸収範囲, 吸収深度は組織学的所見とほとんどの症例で一致していた。以上の結果より, Dental CT画像は正確な骨吸収範囲を判定することができる手段であり, 顎骨切除方法を決定する際に大変有用と思われた。