頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
舌癌筋層内浸潤部の組織像とリンパ節転移
木村 幸紀柳澤 昭夫鎌田 信悦岡野 友宏
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 24 巻 1 号 p. 116-120

詳細
抄録

舌癌は頸部リンパ節転移の予知因子として筋層内浸潤の有無が重要であると報告してきた。今回, 筋層内浸潤部の組織像と頸部リンパ節転移との関連性を検索した。舌部分切除単独治療した筋層内浸潤のみられたpT1N0舌扁平上皮癌のリンパ節後発転移陽性10例と陰性10例を対象に, 筋層内の癌巣の浸潤様式, 組織分化度および角化様式について検討した。筋層内浸潤様式別転移率は, 滴下浸潤型: 47% (8/17), 癒合浸潤型: 67% (2/3) で有意差はなかった。組織分化度別では高分化型: 38% (5/13), 中分化型: 0% (0/1), 低分化型: 83% (5/6) であった。角化様式別では癌真珠形成型: 18% (2/11), 不全角化型: 89% (8/9) であった。また, 高分化型でも不全角化型のものは転移率100% (3/3) であった。よって, 筋層内浸潤様式とリンパ節転移の関連性はないが, 組織分化度が低分化型のもの, 高分化型でも角化傾向が弱く癌真珠を形成しない型にリンパ節転移が多いと言えた。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事
feedback
Top