頭頸部腫瘍
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上顎洞癌治療
北里方式
八尾 和雄高橋 廣臣岡本 牧人
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1998 年 24 巻 3 号 p. 311-315

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抄録

これまでの上顎洞癌の治療方法は, 上顎全摘出術, 根治照射および多量の化学療法を行うことが一般的であった。しかしその結果は決して良いものでなかった。たとえ治癒したとしても前後逆に入れかえる患者のQOLは, 顔面の醜形, 機能障害により損なわれることが多いようであった。そこで我々は顔面形態を保存する画一的治療方法で上顎洞癌を治療することとした。1975年から1993年までにこの北里方式で治療した上顎洞癌症例は63例でこれらを臨床的に検討した。すべての症例は歯齦部切開で腫瘍摘出術がなされ, 同時に術前後に総量16Gyの放射線治療, また局所動注療法を行った。手術は可及的に肉眼で確認できる腫瘍は摘出し, 術後に細胞性免役を維持あるいは賦活するようにした。初診時および経過中のリンパ節転移はリンパ節摘出を行った。累積5年生存率は病期IIが100%, 病期IIIが93%, 病期IVが73%であった。

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© 日本頭頸部癌学会
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