抄録
頭蓋底悪性腫瘍の25例に対して一塊切除術を行った。原発部位は上顎7例・眼窩6例・その他の鼻副鼻腔5例・聴器3例・その他4例で, 内11例は再発例であった。腫瘍が頭蓋底骨を破壊していない11例では硬膜外操作で頭蓋底骨切を行い, 頭蓋底骨を margin とし摘出した。6例で腫瘍は頭蓋底骨を破壊して硬膜に進展しており, 硬膜内から頭蓋底を切断し硬膜を margin として摘出した。8例では腫瘍が脳実質に進展していたため, 腫瘍進展のない部分で脳実質を切断し, 腫瘍周囲に正常脳実質を付けて硬膜や頭蓋底組織と共に一塊で摘出した。全症例の2年生存率・5年生存率は72%・47%であった。硬膜外切除例・硬膜合併切除例・脳実質合併切除例の2年生存率は各々81%・63%・71%で, 統計学的に有意差は認められなかった。予後不良因子を検討したところ, 有意に予後を悪くしていたのは上顎癌 (2年生存率50%) と海綿静脈洞全体への進展 (2年生存率33%) であった。