1998 年 24 巻 3 号 p. 382-387
再建方法が進歩した今でも, 舌全摘術を施行すると術後に大きな機能障害を残すことが多い。当院にて舌全摘後に遊離組織移植による再建をした26例について術後の機能を検討した。平均年齢は54.6歳 (20~77) で, 平均観察期間は34カ月 (4~144) であった。喉頭挙上は4例に, 気管切開は1例を除いて全例に施行した。皮弁は腹直筋が21例で, その他として広背筋, 大腿, 前腕が移植されていた。
術後8例に誤嚥または嚥下性肺炎を認め, 結果的に3例に喉頭全摘を, 3例に喉頭閉鎖を追加した。完全な喉頭温存が可能であった症例は16例 (61.5%) であった。食事内容は軟食が80.7%であり, 会話機能はある程度の会話ができるにとどまった。
喉頭温存が不可能であった症例を検討すると, 皮弁の容量不足, 舌骨喉頭蓋切除症例における喉頭の下降, 広範囲な合併切除範囲のための再建の限界, 術前に合併していた脳機能障害などが考えられ, 今後の課題として残った。