頭頸部腫瘍
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海綿静脈洞に浸潤した副鼻腔癌の前中頭蓋底手術
西川 邦男
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1998 年 24 巻 3 号 p. 365-381

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抄録

頭蓋底手術は, 頭蓋底に浸潤した頭頚部癌に対して, 癌の一塊切除と治療成績の向上を目的としている。われわれが施行している副鼻腔癌の前中頭蓋底手術の骨切り設定線は, 前頭蓋底骨は健側篩骨洞天蓋, 中頭蓋底骨は卵円孔を通り, 蝶形洞体部側面で前頭蓋底骨切りと連続する骨切りである。頭蓋内外合併到達法による頭蓋底手術30症例のなかで副鼻腔癌の前中頭蓋底手術14症例について, 術式と治療成績から海綿静脈洞浸潤症例の手術適応について検討したので報告する。海綿静脈洞への到達法は前床突起を削除後, 内頸動脈硬膜輪を切開し, 内頸動脈に沿って前外方より海綿静脈洞に進入, これを合併切除している。海綿静脈洞非浸潤症例8例のうち, 硬膜外操作切除できた7例のうち5例は非担癌生存である。一方, 海綿静脈洞浸潤症例6例は, 生存例3例, 死亡例3例である。生存例の中で119ヶ月と長期生存例は, 海綿静脈洞浸潤が前外側部に限局している症例であった。

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© 日本頭頸部癌学会
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