頭頸部腫瘍
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口腔扁平上皮癌の組織化学的診断法の臨床応用とそれに基づく治療成績の向上
森 士朗森川 秀広佐藤 敦
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1999 年 25 巻 1 号 p. 48-52

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抄録

われわれは, これまで口腔扁平上皮癌 (SCC) の分化度, 浸潤様式, および腫瘍細胞におけるCD44, E-カドヘリン, ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン, L-PHA結合糖鎖の発現様式をパラメーターとした悪性度指標が, 所属リンパ節転移を予測する上で有用であることを報告してきた。さらに1994年3月より, この悪性度指標を頸部郭清術 (ND) 等の施行に際し, 術前診断の一助として用いてきた。本研究では, この悪性度指標を術前診断に導入する前のSCC症例54例と導入後の症例53例について, NDの施行頻度, 転移の有無, 累積生存率, 死亡原因等について検討した。その結果, 上記悪性度指標の導入により, 術前診断の精度が向上し, より適切にNDの施行症例が選択されるようになり, 高悪性度群での転移死症例の減少および生存率の向上が認められた。

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© 日本頭頸部癌学会
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