頭頸部腫瘍
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Stage III, IV口腔癌に対する浅側頭動脈よりの超選択的動注法を用いた術前放射線化学療法
藤内 祝林 康司重富 俊雄光藤 健司福井 敬文福原 広和山本 憲幸西川 雅也石垣 武男不破 信和上田 実
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2002 年 28 巻 1 号 p. 253-258

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抄録

Stage III, IVの38例の口腔癌患者に対して浅側頭動脈よりの超選択的動注法を用いた術前放射線化学療法を施行した。化学療法はCBDCA: 460mg/m2, 放射線治療は40Gyを連日併用で4週間行い, 後に根治手術を施行した。カテーテル挿入率は89.4%であり, 挿入が不可能であった症例は舌動脈と顔面動脈との長い共同幹などが原因であった。重篤な合併症はみられなかった。臨床効果はCRが9例 (26.5%), PRが25例 (73.5%) であった。原発巣の摘出物の病理効果は grade III, IVが10例 (29.4%), grade IIbが23例 (67.6%), grade IIaが2例 (5.8%) であった。経過観察期間は8ケ月から最高63ケ月であり, 平均35ケ月であった。予後は5年累積生存率は67.8%と高い値であった。浅側頭動脈からの超選択的動注療法は連日の放射線との併用療法が可能であり, また合併症も少なく, 有用性が期待できた。

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© 日本頭頸部癌学会
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