2002 年 28 巻 1 号 p. 259-263
cDNAアレイは近年急速に発達している分野であり, 数百から数千以上の遺伝子発現を解析することができる手法である。
今回我々はヒト上顎癌細胞株IMC-3における低pH条件下での温熱刺激による遺伝子発現の変化を, cDNAアレイを用いて解析した。さらにRT-PCRを行いその結果を検証した。低pH条件下での温熱刺激で18種の遺伝子の発現が増加していた。これらの中にはアポトーシスに関連する遺伝子と同様に, 細胞周期制御やシグナル伝達に関係する遺伝子が含まれていた。
低pHの条件は温熱による細胞死誘導を増感させる効果があるが, 今回発現の変化が観察された遺伝子群がこの増感効果に関係がある可能性が示唆された。