頭頸部腫瘍
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N2梨状陥凹癌に対する治療戦略
放射線治療の立場から
西山 謹司上村 裕和藤井 隆吉野 邦俊
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2002 年 28 巻 3 号 p. 535-540

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抄録

梨状陥凹癌 (PSC) でNステージは最も重要な予後因子であり, 特にN2PSCは予後不良であるため咽喉頭切除によるQOL低下の妥当性をめぐってこのシンポジウムが企画された。1980-1998年までに当院放射線治療科に登録されたPSC, 根治照射例23例, 術後照射例16例を対象に放射線治療の役割を検討した。根治照射群でT1-2の10年原発巣制御率は74.5%と良好であった。術後照射群のN2bの5年粗生存率は43%であり, これは手術単独が主体であったpN2bの28%と比較して良い傾向を示し, N2PSCの頸部リンパ節に対しては郭清と術後照射が必須である。T1-2の放射線治療による高い制御率を背景にT1-2N (+) の9症例で頸部郭清後に原発巣は照射で対処し喉頭を温存した。その結果, 原発巣再発は1例のみであり, 5年喉頭温存率は75%と高率であった。N (+) であってもT1-2であれば, 原発巣は放射線治療で頸部リンパ節転移は郭清による分離治療の可能性がある。

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© 日本頭頸部癌学会
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