頭頸部腫瘍
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頭頸部癌における放射線療法併用超選択的動注化学療法の検討
今井 茂樹業天 真之梶原 康正粟飯原 輝人秋定 健原田 保
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2003 年 29 巻 3 号 p. 463-467

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抄録

上顎癌・上咽頭癌を除く初発頭頸部扁平上皮癌症例110例にシスプラチン・カルボプラチンを用いた放射線療法併用超選択的動注療法を施行した。経過観察が可能であった79症例 (stage III 18例, stage IV 50例) の治療成績は奏功率 89.9% (CR 82.2%, PR 7.6%, NC 6.4%, PD 3.7%) であった。5年生存率は53例中22例が生存し, 粗生存率41.5% (舌37.5%, 喉頭64.2%, 中咽頭46.2%, 下咽頭22.2%) であった。死因は腫瘍死23例 (遠隔転移死13例), 他病死8例であった。副作用は骨髄抑制によるものが多く, 一過性の意識障害が5例 (4.5%) に, 声帯麻痺・浮腫が5例 (4.5%) に出現した。臓器温存率は81.0%であった。本法は原発巣に対する奏功率が高く, 5年生存率は他の治療法に遜色なかった。副作用・合併症は比較的軽微で, 臓器温存率は著明に高く, 患者のQOLの向上に寄与したと考えられる。

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© 日本頭頸部癌学会
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