2022 年 49 巻 1 号 p. 239-244
血圧の変動に一致せず,持続する重度の頭痛を呈した褐色細胞腫の37 歳男性を報告する.初診時と2回目の受診時に血圧高値を認めなかったが,3 回目の受診時に収縮期血圧の異常高値を認めたこと,問診や経過,画像検査から褐色細胞腫の存在を疑った.尿・血液生化学検査,MIBG シンチグラフィーにより確定診断に至った.手術に向けてドキサゾシンの内服を開始し,血圧の変動なく頭痛は改善した.本症例は,高血圧性頭痛に伴う二次性頭痛とは別の機序が考えられる症例だった.褐色細胞腫では血圧の高い時間に頭痛発作が起きると考えられ,α 遮断薬を使用してきたが,正常血圧の褐色細胞腫における頭痛に対してもα 遮断薬が有用な可能性がある.