日本健康開発雑誌
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原著論文
一般公衆浴場(銭湯)における温浴、温冷交代浴の心身への影響の検討
早坂 信哉三橋 浩之亀田 佐知子早坂 健杜石田 心
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2021 年 42 巻 p. 62-68

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抄録

背景・目的 一般公衆浴場である銭湯を定期的に利用する者は幸福度が高いなどの心身への関連をこれまで筆者らは横断研究で報告してきた。銭湯は浴槽が複数あり温水単体による通常入浴の他、冷水浴を用いた温冷交代浴をしやすい環境にあるが、銭湯におけるこれらの入浴の効果を測定した研究は少ない。本研究では銭湯における通常入浴及び温冷交代浴の心身への影響を介入研究によって明らかにすることを目的とした。

方法 同一被験者内前後比較試験として、成人男女10名を対象に、銭湯で通常入浴(40℃ 10分全身浴)、温冷交代浴(40℃3分全身浴→ 25℃1分四肢末端シャワー浴(2度繰り返し)→ 40℃ 4分全身浴で終了)をそれぞれ単回行い、入浴前後で16項目の心身の主観的評価項目、体温、唾液コルチゾール、オキシトシンを測定した。

結果 前後比較では、心身の主観的評価項目では通常入浴は幸福感など11項目、温冷交代浴では13項目が入浴後に好評価となった。通常入浴では唾液コルチゾールが入浴後に有意に低下し(p=0.005)、前後の変化量は群間比較で温冷交代浴と比べて通常入浴が大きかった(p=0.049)。

考察 通常入浴、温冷交代浴とも心身への主観的評価は入浴後に好評価となりいずれの入浴法でも心身へ良い影響を与えることが推測された。温冷交代浴の優位性が報告されることがあるが、本研究では通常入浴でも好影響が確認できた。

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