日本健康開発雑誌
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医療経済学系研究人材を取り巻く環境と課題
石川 鎮清木村 哲也中村 好一近藤 克則尾島 俊之菅原 琢磨
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論文ID: 202244G01

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抄録

背景・目的 医療経済学への社会的要請は高まっているが、担う人材は十分とは言えず、養成上の課題は多い。そこで医療経済学の人材養成の課題を把握し、解決策の方向を示すことを目的とした。

方法 2つの調査を行った。量的調査では、主要2学会の抄録集を対象に近年10年間における医療経済学分野の研究発表数、人材数を調査した。質的調査では、国内の医療経済学分野における中堅研究者8人を対象に半構造化面接を行い、質的に分析した。

結果 日本経済学会では一般演題に占める医療経済学関連の演題の割合が2000年代には2%~6%台だったが、2012年を境に8%~10%台へと増加していた。医療経済学会では、経済学系の発表者の割合が2000年代には4~7割の幅で上下していたが、2013年以降は、上昇に転じ、2015年~2016年は7割を超えていた。インタビュー調査からは、大学教育における医療経済学の課題、研究職ポストの不足、データ利用の促進の必要性、経済学系と医学系との協働の可能性の4つのカテゴリを抽出した。

考察 量的・質的調査の結果、社会的ニーズの増大にもかかわらず、人材育成には課題があることが明らかになった。問題解決の方向性として1)重点的で継続的な人材養成、2)雇用ポストの創出、3)医療データの利用環境の改善促進、4)医学分野と経済学分野との協働の場の創設の4つが重要と考えられた。

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