日本健康開発雑誌
Online ISSN : 2434-8481
Print ISSN : 2432-602X
ISSN-L : 2432-602X
改版003
認知症高齢患者へのシャワー浴が患者と看護師に与える気分の変化と生理学的影響
龍 由季乃田中 晶子内山 秀彦永澤 巧
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 202445G01

改版003: 2024/03/29
改版002: 2023/09/08
改版001: 2023/06/26
詳細
抄録

背景・目的 認知症高齢患者へのケアにおいて、看護師は様々な精神的・身体的ストレスを抱えている。本研究はケアで多く取り入れられているシャワー浴に着目し、患者にシャワー浴を実施した際の、患者と看護師のシャワー浴前後の気分の変化を調査し、双方に与える効果を明らかにする。

方法 F病院に入院する認知症高齢患者と看護師を対象とし、認知症患者へ行うシャワー浴時に調査した。シャワー浴実施時、その前後にVisual Analog Scale(VAS)の測定と唾液からオキシトシン値とコルチゾール値を測定した。

結果 対象者はそれぞれ10名。患者・看護師ともにシャワー浴前後のVAS平均値でシャワー後に有意に気分の上昇が認められた(p=0.01,p=0.02)。患者の生理活性物質はシャワー浴の前後で有意な変化は認められなかった。看護師についてはオキシトシン値では有意な変化を認めなかったものの、コルチゾール値がシャワー浴後に有意に減少した(p=0.02)。

考察 VASの変化から患者・看護師ともにシャワー浴によって気分が向上したと考えられる。またシャワー浴後に看護師のコルチゾール値が減少したことは、VASの変化と併せて、患者へのシャワー浴の実施が看護師に気分向上とストレスの軽減をもたらす可能性がある。本研究の結果より、ストレスが多いとされる認知症ケアにおいて、シャワー浴は、看護師の精神的負担を軽減し、気分を変化させるより良い看護ケアである可能性が示された。

著者関連情報
© 2023 日本健康開発財団
次の記事
feedback
Top