日本健康開発雑誌
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入浴の頻度および体温上昇と健康との関連
石澤 太市 小番 美鈴奥川 洋司中西 信之松本 圭史早坂 信哉
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キーワード: 入浴, 頻度, 体温, 健康, 健康寿命
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 202546G02

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抄録

目的 日本人における入浴は、体の清浄だけでなく、日常のストレスや疲労からの回復を実感できる浴槽浴(以下:入浴)が習慣化している。本研究は、入浴実態と健康に関する調査から入浴頻度と入浴時の体温上昇の観点で解析を行い、健康維持のための入浴法を提案することを目的とする。

方法 対象者は40歳以上の健常な男女で、自記式アンケートにより年齢・性別・入浴頻度(週あたりの浴槽浴回数)・湯温度・入浴時間(湯につかっている時間)・水位(湯につかる深さ)を調査した。これらの結果を既報告の計算式に代入し、入浴時の体温上昇値を推定した。さらに、体温上昇推定値に頻度を乗じて週累積体温上昇値を算出した。健康状態については、主観的健康感、QOL26、POMS2、ロコモ25、歩行試験、加齢に伴う意識調査、脳活動試験、健康診断による脂質値の調査等を行った。解析は、入浴頻度を週7回以上と7回未満の2群に分け、健康状態の各項目でt検定を行った。また、週累積体温上昇値については、男女別に週累積体温上昇値を平均値で2群に分け、健康状態の各項目でt検定を行った。

結果 入浴頻度では、週7回以上の群で主観的健康感、QOL26、POMS2、歩行試験において良好であり、健康診断の脂質値が有意に低い項目を認めた。また、週累積体温上昇値では、女性の高値群においてQOL26、ロコモ25が良好であった。男性の高値群においてはPOMS2、加齢に伴う注意力低下の意識、脳活動が良好であった。また、男女の高値群で健康診断の脂質値で低い項目を認めた。

考察 入浴頻度および入浴時の体温上昇と心身の健康状態との間に関連があることが認められた。測定指標である歩行状態、脳活動、脂質関連値は、フレイルや認知機能およびメタボリックシンドローム等と関連性があることより、入浴習慣が健康寿命の延伸と関連性があることが示唆された。

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