日本関節病学会誌
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原著
CR TKAにおけるfemoral posterior condylar offsetに応じた脛骨後方傾斜角度選択的調整法の有用性の検討
中村 卓司青木 秀之関口 昌之窪田 綾子高松 諒辻 健太郎葛原 絢花高橋 寛
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2021 年 40 巻 2 号 p. 67-73

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抄録

目的 : 後十字靱帯温存型人工膝関節置換術 (cruciate retaining total knee arthroplasty: CR TKA) において, 脛骨後方傾斜角度 (tibial posterior slope angle: TPSA) に関するコンセンサスはない。今回われわれは, femoral posterior condylar offset (PCO) に応じてTPSAを選択的に調整する術式を考案したので, 術後臨床成績を調査し, 当術式の有用性につき検討した。

対象および方法 : 対象は内反型変形性膝関節症81関節, 平均年齢は73.2歳, 機種はストライカー社製トライアスロンであった。Measured resection法に準じanterior referenceで大腿骨々切りの後, 脛骨々切りは骨軸に垂直に行い伸展gapを作成した。大腿骨トライアル設置下で伸展, 屈曲gapを計測し, gap差を高さ, 脛骨トライアル前後径の70%の長さを底辺長とし, 逆三角関数を用いて斜辺角を算出しTPSAを決定した。算出されたTPSAは専用のデバイスで追加骨切りを行い, 屈曲gapを完成させた。検討項目として術前後のPCOおよびTPSAの変化, 術後可動域, PCL部分解離の有無などを調査した。

結果 : PCOは0.8mm, TPSAは5.6°, 術後は術前に比しともに減少していた。またTPSAの術前後での関連性は認めなかった。術後平均屈曲角度は124.2°と良好であり, PCL解離を要した症例は1例もなかった。

考察 : PCOに応じてTPSAを選択的に調整することでPCLのマネジメントが不要であり, 安定した臨床成績が得られていた。CR TKAを行う場合, 本術式は極めて有用な方法と思われた。

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