抄録
関節運動時の筋活動を把握することは, 障害の発生を解明する上で重要と考えられる。本研究では, 膝伸展運動を取り上げ, 大腿直筋および内側広筋の活動と出力トルクの関係について検討した。対象は, 膝関節に外傷の既往をもたない, 成人67名, 平均年齢21.9歳とした。被験者は大腿直筋, 内側広筋に表面皿電極を取り付け, 膝関節を屈曲角90°に固定し, 膝伸展等尺性収縮を行わせ筋電図を記録した。分析は関節トルクと各筋のRMSとの関係について累乗方程式(Y=aX^b)にあてはめ分析した。この結果, 方程式の係数bは, 大腿直筋の平均が0.67(±0.23〉, 内側広筋では平均0.92(±0.28)となり有意差が示された。係数bは曲線の深さを示しており, 大腿直筋から得られたRMSは高いトルク出力で頭打ちとなる傾向が示された。これらの曲線は両筋の筋活動の指標として評価対象とするなることが示唆された。