抄録
本研究は, 脳卒中患者のストレスに対するコーピング尺度の開発を目的とした。調査対象は, 岡山県K市内の1病院ならびに同市が開催している機能訓練事業を利用する在宅脳卒中患者807名とし, 調査は質問紙による面接調査法で実施した。調査を実施した260名のうち, 性, 年齢, 尺度項目に欠損値を有さず, かつ知的状態に問題を有さない169名(男性98名, 女性71名)の資料を分析に用いた。統計解析にあたっては, コーピングに関して著者らがすでに構成概念妥当性を確認している「調整」, 「逃避」を第1次因子とする2因子斜交モデルを, Lazarusらが開発したthe Waysof Coping Questionnaireの質問項目を基礎に構築し, その適合度を確証的因子分析を用い検討した。各因子の所属項目に関しては, 探索的因子分析により統計学的に吟味した。その結果, 「調整」, 「逃避」の2因子10項目からなる2因子斜交モデルを構築でき, かつ統計学的な許容水準を満たす適合度が得られた。また本尺度の信頼性係数は, 統計学的に適切な範囲にあった。以上のことから, 本尺度は構成概念妥当性ならびに信頼性を備えた有効な尺度になりうるものと判断された。