東京保健科学学会誌
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段階的座位時の血圧と心拍変動に関する研究
横井 郁子
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2003 年 5 巻 4 号 p. 225-229

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抄録

本研究では,起立性低血圧による転倒予防のため,離床時の身体評価のひとつとして心拍変動のスペクトル解析による自律神経活動評価の有用性を検討した。健常な若年者を対象にベッド上で上半身だけを0°から30°,60°と段階的にベッドアップを行い長座位をとったところ,心拍数はベッド角度の変化に関わらずほぼ一定の値を示したが,血圧においては,収縮期血圧はベッドアップ60°で0°,30°に比べて有意に低下した(p<0.01)。拡張期血圧では角度負荷の増大に伴い低下する傾向がみられたが,有意な差はみられなかった。平均血圧はベッドアップ60°で0°に比べて有意に低下した(p<0.01).心拍変動成分では,交感神経指標とされるLF/HFがベッドアップ60°で0°に比べ有意に増加した(p<0.05)。副交感神経指標とされるHF/TOはベッドアッブ60°で0°,30°に比べ有意に減少した(p<0.001,p<0.01).これらは,段階的起立負荷試験とほぼ同様の結果であり,仰臥位から長座位という姿勢変化時の自律神経機能評価として非侵襲的な心拍変動のスペクトル解析が有用であることが示された。

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2003 日本保健科学学会
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