日本ハンドセラピィ学会誌
Online ISSN : 2189-8855
Print ISSN : 1880-7380
原著論文
SBi Siliconeインプラントによる人工中手指節間関節置換術後
-12日目から尺側偏位防止スプリントを使用した関節リウマチの1症例-
前田 翔吾大田 智美中武 潤荒川 英樹
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 17 巻 1 号 p. 41-47

詳細
抄録

今回,SBi Siliconeインプラントの人工中手指節間(MP)関節置換術後,通常プロトコルではなく,術後2週から尺側偏位防止スプリントのみを使用し経過をみた症例を担当した.70代の右利きの女性で,関節リウマチ由来の右手変形の外観の矯正と右手指機能改善を希望され,右示指から小指の人工MP関節置換術が施行された.通常プロトコル通りの介入を予定していたが,アウトリガー付き動的スプリントは装着ストレスが強く,術後12日目から日中・夜間の尺側偏位防止スプリントのみを使用した.術指MP関節の屈曲角度を段階的に増やし,インプラント折損に留意した.術後3か月で,右示指から小指の尺側偏位角度は5°程,MP関節自動屈曲角度は60°程,伸展角度は-20°程で,Hand20はスコア4.5点,HAQ-DIは0.5となった.経過途中から尺側偏位防止スプリントのみの使用に変更しても,屈曲角度の調整を行うことで,術指の尺側偏位防止及びインプラントの折損を防止できる可能性がある.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本ハンドセラピィ学会
前の記事 次の記事
feedback
Top