本研究では,手指の変形性関節症(Hand Osteoarthritis:Hand OA)が好発する手指の小関節を対象とした圧痛計を開発し,信頼性及び従来型機器との互換性を検討した.測定部位を2方向からノギス状に挟むことで小関節を安定して押圧可能な圧痛計(プロトタイプ)を開発し,健常成人25名の両母指CM関節と示指DIP関節を対象とした.解析は検査者内信頼性及び検者間信頼性と従来型圧痛計との相関分析による互換性の検討を行った.プロトタイプの信頼性はICC(1,k)がCM関節で0.84,DIP関節で0.82,ICC(3,k)がCM関節で0.87,DIP関節で0.89であった.いずれの検査部位においても従来型との有意な相関が得られ,相関係数はDIP関節で0.82,CM関節で0.84であった.今回開発したプロトタイプの高い信頼性と互換性が確認できた.今後は,臨床応用に向けてHand OA患者を対象としたデータ収集や機器の小型化に取り組みたいと考えている.