日本透析医学会雑誌
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原著
維持透析患者の死亡時の状況についての検討
吉本 敬一湯浅 貴博宮川 太郎竹田 慎一
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2019 年 52 巻 6 号 p. 327-334

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抄録

医療の進歩と高齢化に伴い, 透析患者の終末期医療への対策が喫緊の課題となっているが, 透析患者がどのような死を迎えているか検討された報告は少ない. そこで, 当院にて死亡した180名の維持透析患者の死亡時の状況について検討した. 死亡場所は院内が81.7%と多く, また, 75.0%の患者が死亡を予期されていた. 在宅で看取られた症例は2名のみであった. 院外死群は, 死亡が予期されなかった症例が多く, 死亡年齢が若かった. 20%にあたる36名で透析見合わせがなされたが, 患者本人が透析見合わせに関する事前指示書を提示していた症例は6名のみであった. 透析見合わせ後, 死亡まで平均7.9日であったが, 38.8%は2日以内に死亡していた. 多くの患者は心肺蘇生措置 (胸骨圧迫, 人工呼吸器装着, 気管内挿管) を希望せず実施されなかった. 2014年に日本透析医学会から透析見合わせに関する提言が発表されたが, 透析患者が尊厳ある死を迎えるため, さらなる議論が必要である.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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