抄録
large pit organは通常側線器官に属し, 微細構造においても側線管器と類似性のあることが推察されたが, 今回の観察結果からその事実が確かめられた.例えば受容細胞から突出している2種類の感覚毛の配列様式, 受容細胞と神経終末とのつくるシナプスにnon-granulated typeとgranulated typeの2種類があるなど, 管器のそれらと全く同じである.支持細胞はlarge pit organ内における位置関係から中心支持細胞と周辺支持細胞とに区別できる.これら2種の支持細胞はその基本構造において大きな相違はないが, 分泌顆粒の形と大きさに関しては, これら2種の支持細胞間で相違がある.これに伴なって顆粒内容物の性質まで異なるものか否かは今後の研究に待ちたい.