魚類学雑誌
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中部太平洋産ミズワニにみられた卵食性の胎児
藤田 清
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1981 年 28 巻 1 号 p. 37-44

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抄録

1979年6月に中部太平洋海域において, 鹿島丸 (茨城県那珂湊水産高校所属) が延縄によってミズワニ11尾 (雌3, 雄8) を漁獲した.全長985mmの雌の左右の子宮から401~428mmの範囲の胎児が2尾ずつ得られた.これらの胎児には臍帯は認められず, また, 胎児の胃は著しく膨れ, その中は胎児の体重の約25%に相当する卵黄で満たされていた, これは, ミズワニの胎児が母体の子宮内に排卵された卵を食する卵食性の胎児であることを示している.また, 全長982mmの雌の左右の子宮には卵黄嚢をもつ胎児 (全長37.9~40.8) が2尾ずつと多数の卵殻 (右側の子宮内に21個, 左側に23個) が見られた.これらの胎児は卵黄嚢から卵黄の供給を受けており, まだ, 親の子宮内に排卵された卵を食していない.

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