魚類学雑誌
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種子島・屋久島におけるサバヒー仔魚出現の季節変化
千田 哲資平井 明夫
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1981 年 28 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

1978年6月下旬~9月中旬に種子島西岸の島間, 同東岸の熊野, 及び屋久島宮之浦の砂浜海岸の波打際近くで, 前端の幅1.8mの三角形の押網, または幅5m, 丈1.3mの長方形の曳網を使って採集を繰り返し, 総計7391尾のサバヒー仔魚を得た.仔魚は全研究期間を通じて出現し, 盛期は7~8月であった.海岸線に平行に50mの距離を押し, または曳いた1回の操業で得られた仔魚数の最高は, 押網による224尾, 曳網による701尾であった.他の目的をもった熊野における1979年の研究では, 11月上旬にも1尾の仔魚が採集された.東シナ海での流量観測の結果によると, 1978, 1979年の黒潮流量は長年平均流量を僅かに上廻る程度で, これら両年に限ってサバヒー仔魚が種子島・屋久島に特に多く出現したと考えねばならぬ根拠はない.採集された仔魚の全長範囲は10.3~16.2mm, モード13.0~140mmで, 熱帯各地の海岸で養殖用種苗として採捕されている仔魚と同じ大きさである.海から岸に向かって風の吹く日には, そうでない日よりも多くの仔魚が採集された.しかし, 仔魚の出現と潮候・潮時との関係は明瞭でなかった.熊野における仔魚出現量は島間, 宮之浦のそれに比べてかなり多く, これは熊野の海岸が黒潮の影響をより強く受けるためと思われる.

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