北海道襟裳岬沖水深335~850mからオッタートロール船により, 深海性のカレイ科魚類シモブリガレイ (新称) Embassichthys bathybiusが5個体採集された.
本種はこれまで南カリフォルニア沖からアラスカ南東沖までの海域およびべーリング海から報告されている.したがって, 今回採集された標本は西部太平洋および目本初記録である.
本種は東部太平洋の沿岸では普通にみられること, ベーリング海からもまれに報告されていること, および西部ベーリング海のMyednuii島近くでも採集されたことから, 本個体は北方海域から移住してきたと考えられる.しかし, 永年のトロール漁業にもかかわらず, 日本の沿岸からはただ5個体しか得られていないことから, この海域に定住していないと考えられる.