抄録
日本近海からの実証的記録があるサワラ属魚類は, 従来, サワラScomberomorus niphonius, ウシサワラS.sinensisおよびヨコシマサワラS.commersonの3種のみであった.1978年9月から11月にかけて若狭湾沿岸の京都府漁連西舞鶴魚市場に水揚されたサワラの調査をした際, 時々見慣れないサワラ類が多くのサワラに混って水揚されているのに気がついた.最初それらは同一種と思われたが, 精査の結果ヒラサワラS.koreanusおよびタイワンサワラS.guttatusの2種 (Fig.1) であることが判明した.外部形質では両者はよく類似するが, 脊椎骨数と腸の曲点数で両者を明確に区別することができる (Table 1;Fig.2), ヒラサワラおよびタイワンサワラはいずれも日本近海への実証的初記録に該当するので, 日本産サワラ類5種の検索とともにここに報告する.