パーソナリティ研究
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原著
学業場面における不健全完全主義者の動機づけに随伴性自己価値および失敗の反すうが及ぼす影響
胡(増井) 綾及岩永 誠
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2016 年 24 巻 3 号 p. 190-201

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抄録
不健全完全主義者は目標を達成できないにもかかわらず,学業課題へ高い目標を掲げる傾向がある。彼らの学業への動機づけはなぜ高く維持されるのか。本研究は不健全完全主義者の示す学業への高い動機づけの媒介要因を検討することを目的とした。大学生185名を対象に完全主義,随伴性自己価値,失敗の反すう,日常の学業課題への動機づけとの関連を検討した。その結果,完全主義的努力は達成動機に正の直接効果を示した。活動基盤自己価値は,完全主義的努力と競争的達成動機の間を媒介している傾向が示された。一方完全主義的懸念は,自己充実的達成動機には負の直接効果を,失敗回避動機には正の直接効果を示した。また失敗の反すうは,完全主義的懸念と失敗回避動機の間を媒介していた。以上のことから,不健全完全主義者の学業への高い動機づけは,活動基盤自己価値や失敗の反すうに媒介されて生起していると考えられる。
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© 2016 日本パーソナリティ心理学会
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