魚類学雑誌
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放卵中のコイから記録した体側筋筋電図
植松 一真
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1984 年 31 巻 1 号 p. 66-70

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抄録
コイの放卵は, 筋成分に乏しい卵巣膜の構造からみて, 体側筋によって行なわれると考えられる.そこで, 産卵行動中のコイ雌魚からの体側筋筋電図の導出を試みた.
放卵時, 体側筋 (血合筋と普通筋) の各部からは, 40~60ミリ秒の短い叢放電が4~8回記録された.その際, 同じ筋節レベルの左右の筋は交互に, また同側の体側筋はほぼ同時に活動した.このように, コイの放卵動作は突進時の遊泳動作に極めて類似していることが明らかとなったが, 両動作の間に筋電図上の差違を見出すことはできなかった.これらから, コイの放卵動作は単純な魚体の屈曲にすぎないと推察された.
すなわち, 魚体が急速に屈曲される時に上昇する腹腔内圧によって, 卵は卵巣内より体外へ押し出されるものと考えられる.
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© 日本魚類学会
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