抄録
コイ, ゴンズイ, ブリおよびイザリウオのネフロンを組織学的, 酵素組織化学的に調べた。
これら魚種の尿細管各部位とその内腔は一定の場所で太くあるいは細くなっていた.また, コイの尿細管上皮細胞は嵌合がよく発達していたが, ブリ, ゴンズイおよびイザリウオの尿細管上皮細胞の嵌合は発達が悪かった。Na-K-ATPase活性はコイの遠位部で強く, ブリの集合管とゴンズイの遠位部には非常に低い活性が見られた。コイとブリの近位部第1節と第2節に強いカルボニックアンヒドラーゼ活性が分布していたが, ゴンズイでは遠位部と集合管にその中程度の活性が認められた。強い酸性フォスファターゼ活性がブリの近位第1節にあり, コイとゴンズイの近位部第1節は中程度の活性を持っていた。イザリウオのネフロンはいずれの酵素反応にも反応しなかった.これらの結果から尿細管の各部位の機能を推測した。