魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
土佐湾の砕波帯に出現するヒラスズキ仔稚魚
木下 泉藤田 真二
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 34 巻 4 号 p. 468-475

詳細
抄録

合計343尾のヒラスズキ仔稚魚 (9.2-27.0mm TL) が, 土佐湾の砕波帯において小型曳網によって採集された.ヒラスズキ仔稚魚は, 同属のスズキ仔稚魚と形態的に酷似するが, 尾部での黒色素胞の分布様式, 頭部棘形成, 頭長/体長比および背鰭15または16軟条を有することにより, それらと識別できる.ヒラスズキ仔稚魚は, 土佐湾の砕波帯では1月上旬一5月中旬にかけて出現し, 最も量的に多かったのは4月中旬であった.それらの出現時の水温・塩分の範囲は, 各々12.2-24.0℃・23.7-34.5‰であった.過去, 南日本の沿岸域, 浅海域およびアマモ場において, 本種仔稚魚は全く報告されておらず, スズキ仔稚魚に混入されていた可能性がある.いずれにしても, 本種仔稚魚の出現域は砕波帯およびその付近に限られているようである.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top