魚類学雑誌
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同所性のオニカクレウオとバケオニカクレウオ (新称)
町田 吉彦岡村 収
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1993 年 40 巻 2 号 p. 153-160

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抄録

本邦産のPyramodon ventralis (オニカクレウオ) 25個体とP. lindas (バケオニカクレウオ) 7個体の形態の比較を, それぞれの完模式標本を含あて行った.本研究で, 北部オーストラリアのみからしか知られていなかったP. lindasが土佐湾に生息することが明らかとなった.両種は腹椎骨数と胸鰭鰭条数に差異があるとされていたが, 本邦産の標本では共に数値が重複しており, 有効形質といえない.バケオニカクレウオは, 背鰭と臀鰭の縁辺が黒色であること (オニカクレウオでは淡色) と, 臀鰭始部より前方の背鰭鰭条数が11-18 (0-4) であることでオニカクレウオと区別されていた.本研究で, 新たに, 前頭骨と土後頭骨の背面が前者では一様に小突起を生ずるのに対し, 後者では前頭骨のみに後方に伸びる低い隆起線があることと, 腹鰭起部から肛門中央部までの間隔が前者の方がはるかに長いことで識別可能であることが判明した.各計測形質を頭長と比較した結果, 両種とも成長に伴い臀鰭始部が後方へ移動することが明らかとなり, これは主に腹鰭起部と肛門中央部までの間隔が成長に伴い著しく長くなることで説明された.同時に, 成魚における成長に伴う若干の計測形質の変化にっいても論議した.

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